腸活という言葉が定着し、食生活改善に取り組んでいる方も多いのではないでしょうか。ただやみくもに腸内細菌を取り入れるだけではダメな場合があります。食生活で気にしておくべき点と、整腸食の落とし穴について解説します。
一つの腸内細菌ばかりはNG
以前のブログでも紹介しましたが、腸内細菌には大きく分けて3種類、善玉菌・悪玉菌・日和見菌がいます。
善玉菌がたくさんあれば良い状態だと思われがちですが、実は、善玉菌の割合が悪玉菌よりも多いだけでは不十分なのです。
健康な腸の条件は、腸内細菌のバリエーションが多いこと。
腸内細菌の種類が多いほど、腸の粘膜のバリア機能が高まり、外から入る細菌やウイルスに対しての免疫力がアップします。そのため、腸内細菌の種類が豊富な人は、大腸がんや肝臓病、乳がんなどのリスクが低下するというデータもあるのです。
一方、似たような種類の腸内細菌ばかりが育ち、種類が限られた腸内フローラの状態を<ディスバイオシス>といいます。こうなると、腸粘膜のバリア機能が衰え、免疫力が低下します。
健康な腸にするための4大食品
逆効果!?整腸食の落とし穴
しかし、なかには発酵食品や食物繊維をとるとかえってお腹が張ってしまい、便秘や下痢を引き起こし、調子が悪くなる人がいます。整腸食で腸が不調になるというのはどういうことなのでしょうか?
答えは、SIBO(小腸内細菌増殖症)と呼ばれる、小腸の中で細菌が爆発的に増えすぎてしまう病気にあります。この病気は世界的には研究が進んでいますが、日本においてはまだ十分に一般化されていない疾患概念です。この疾患患者の小腸の中で細菌が増えすぎると、代謝産物が過剰に産生されます。そこに、発酵食品や食物繊維を細菌に与えると火に油状態。小腸のなかで細菌が増殖し大量のガスが発生して、さらなる不調を招くことにつながります。過剰に菌が増えた小腸の中では、整腸食は味方ではなく、敵になり得るのです。
腸が健康な人は食物繊維や発酵食品を積極的に取り入れるべきですが、SIBOや過敏性腸症候群の人は避けるようにしましょう。