毎年9月21日は世界アルツハイマーデーに制定されています。
日本は2025年には約675万人(有病率18.5%)と5.4人に1人程度が認知症になると予測されている認知症大国です。
9月のアルツハイマー月間を機に認知症について知り、予防しましょう。
認知症と高齢化社会
高齢になるほど発症リスクが高まるのが「認知症」です。2025年にはおよそ700万人(高齢者5人に1人)、2060年には850万人(高齢者4人に1人)になると推計されています。
認知症への関心は日本だけではなく、世界でも高まっており、1994年に国際アルツハイマー病協会(ADI)が「世界アルツハイマーデー(9月21日)」を制定し、認知症への理解をすすめる啓発活動を世界各国で行っています。
認知症の種類
日本人の認知症の60%を占めるのがアルツハイマー型なので、一般的に「認知症」というとアルツハイマー型のことを指します。
アルツハイマー型認知症というのは、脳の中にアミロイドβというタンパク質が溜まり、神経細胞を破壊して脳を萎縮させると考えられている病気です。短期記憶を蓄える海馬や、好き嫌いなどの感情の処理に関係する扁桃体などを含む大脳辺縁系に変性が起こり、その結果、脳の働きが低下すると考えられています。
認知症と嗅覚障害
近年では認知症は初期であれば、改善可能であることがわかってきました。匂いに鈍感になったと気づくことで、アルツハイマー型認知症の初期症状を疑うことができます。早い段階で気づくことで対策が可能になり、改善の可能性も高くなります。
脳の神経細胞は一度壊れてしまうとほとんど再生しませんが、海馬の細胞は神経細胞でありながら再生します。においの刺激は大脳皮質や大脳辺縁系へ直接届けることができるので、アロマセラピーでにおいの刺激を与え続ければ、脳の衰えた部分を活性化し、認知機能を向上させる可能性が高いと考えられているのです。
このように、嗅覚を鍛えること、嗅覚に刺激を与えることは認知症予防にも繋がるので、嗅覚にアプローチすることは非常に有効だと考えられています。
アロマセラピーと認知症
アロマセラピーと認知症研究
認知症予防、心身のケアにアロマオイルが効果を発揮すると、日本でもデータを伴う研究が進められています。
ローズマリー&レモン、ラベンダー&オレンジの香りを28日間ディフューザーで散布し、アルツハイマー型認知症の症状を観察した結果、香りが脳に作用して、症状の改善をもたらすことを見いだしました。※
アロマテラピーがアルツハイマー型認知症の知的機能を改善するという報告は今までになく、安全で誰にでも行える治療法・予防法となりえると論文はまとめられています。
(※木村有希、綱分信二、谷口美也子、斎藤潤、北浦美貴、細田理恵子、米原あき、長谷川順子、児山憲恵、清水百合子、森本靖子、頼田孝男、小嶋良平、浦上克哉. Dementia Japan(19)77-85(2005))
香りが心身に効く理由
その刺激は電気信号となり、嗅上皮から脳の中枢部(大脳辺縁系)へと送られます。
これが、アロマが身体に効果を発揮する仕組みの正体です。
自律神経系や内分泌系を支配する視床下部、下垂体にも電気信号が送られるため、香りの成分に反応してホルモンが分泌されます。アラビアやヨーロッパでは古くからこの効果・効能に着目し、病気やケガの治療にアロマオイルが用いられました。
まとめ
運動や脳トレ、ストレス解消など生活の中で取り組める認知症予防活動の中でも、香りを嗅ぐことで脳への刺激を送るアロマテラピーは負荷の少ない予防の一つです。
まずは好きな香りを楽しむような気持ちで、アロマテラピーを始めてみてはいかがでしょうか。