腸内細菌が健康・免疫に深く関係していることは以前もご紹介してきましたが、幸せを感じることにも深く関わりがあることが判明しています。今回は腸内細菌と幸福感についてご紹介します。
ストレスと脳内物質
うつ病の研究が進むにつれて、脳の中のセロトニンという物質の量が減少することが病気の原因の一つだと判明しました。
セロトニンとは、別名「幸せホルモン」と呼ばれる脳内ホルモンです。
私たちは、交感神経を刺激し、ドーパミンやアドレナリンを出すことで体を興奮状態にさせやる気にさせたり運動意欲を高めたりしますが、あまりに興奮が高まりすぎると疲れや最悪発作などに繋がってしまいます。そこで、副交感神経を優位にさせ、セロトニンを分泌することによってドーパミンの働きを制御し、緊張状態を緩和し、リラックス状態にさせます。セロトニンはストレスに対しても効能があり、幸福感や精神安定に非常に大きな役割を果たします。
緊張・興奮とリラックス、どちらか一方だけではなくバランスがとれていることが人間の活動にとって重要です。
ところが過剰なストレスが加わると、交感神経が興奮し、副腎髄質からアドレナリンが、視床下部からノルアドレナリンが分泌されます。この2つはストレス状態に打ち克ち、頑張る状態を作り出すために放出されるのですが、この状態が続くとやがて心も身体も疲れ果て「頑張れない状態」になってしまいます。
こうしてアドレナリンやノルアドレナリンが増え続けるだけでなく、これらを抑制するセロトニンの分泌量が減ったり、働きが制限されることによって心の病気に繋がってしまうリスクが高まるのです。
ストレスと免疫の関係
上記で説明した、アドレナリンやノルアドレナリンが増えると、体内の免疫細胞のリンパ球を減らしてしまい、ウイルスに対する抵抗力を低下させてしまうのです。
交感神経だけを活発にさせるのではなく、副交感神経とのバランスをとってセロトニンを機能させることが免疫力アップに繋がります。
セロトニンを増やすために
セロトニンは脳内で作られますが、このセロトニンのもとになるのは、トリプトファンというアミノ酸です。
トリプトファンは体内で生成できないので、食事から摂ることになります。トリプトファンは肉や魚、豆腐・納豆・味噌などの大豆製品、ピーナッツ、チーズ・牛乳・ヨーグルトなどの乳製品、米などの穀類に多く含まれます。
ここで大切なのが、いくらトリプトファンを摂取しても、それをきちんと分解して吸収出来るようにしてくれる腸内細菌がいないと脳に送られないという事実です。食事から摂るからこそ、消化・吸収のステップを担う腸内細菌が重要です。
腸内細菌は分解するのに得意な栄養素がわかれている
食事にはバランスが重要ですので、脂質や食物繊維を分解する腸内細菌も重要となります。
食事・栄養にバランスが必要なように、腸内細菌も多様性とバランスが必要になってくるのです。
多様な腸内細菌を補給するために
たとえ高成分のものを摂り入れたとしても、効率よく消化・吸収出来なければ意味がありません。
健康を維持するためには、摂り入れた栄養素を受け取る腸内環境(細菌叢)を整える事が大切です。
本来の腸の働きを取り戻すためにも、腸活は菌活(腸内細菌)に注目してみてはいかがでしょうか。